スイング改造なしでドロー・フェードを操る
「スイングの精度を上げる 繰り返せる動きを作る基本」をテーマに、初心者・中級者向けに要点と練習の始め方を整理したレッスン記事。ドローとフェードを打ち分けたいが大掛かり...に向けて、失敗しやすい点や見直し方もまとめて読める。まずはまず自分の「グリップニュートラル」位置を確認する:アドレスで...から始めるのがおすすめ。
スイング改造なしでドロー・フェードを操る
コースに出るたびに「右サイドが危ないからドローで攻めたい」と思いながら、結局いつも通りのスイングをしてしまう。ドローを意識すると力んで引っかけになる、フェードを狙うとスライスになる。こういうミスの多くは、スイング自体の問題ではなく、アドレスでのグリップ位置が変わっていないことが原因です。
PGAツアーコーチが明かしたとされるこのセットアップ調整法は、グリップエンドの高さと傾きを変えるだけで球筋を切り替えられるというものです。アンドリュー・カレン(Andrew Cullen PGA)が実際にTrackManのデータを使って実証した内容をもとに、練習で再現できる形に整理しました。
この記事でわかること
- グリップ位置(高低・前後)がスイングパスに自然と影響する仕組み
- ドロー・フェードを打ち分けるための2段階セットアップ調整の手順
- コース上でどちらを選ぶか判断する基準と意思決定の習慣
この記事で学ぶ3つのポイント
1. ボールの曲がりはフェース向きとパスの「差」で決まる
ボールが最初に飛び出す方向は、インパクト時のフェース向きで決まります。その後の曲がりはスイングパスとフェース向きの差で決まります。これはD-Plane理論(新飛球法則)と呼ばれる考え方で、TrackManを含む弾道測定器はすべてこの原理をベースにしています。
「フェースがスクエアでパスがインサイドアウトならドロー、アウトサイドインならフェード」が基本の理解です。ここで押さえたいのは、スイングパスはアドレスのグリップ位置を変えるだけで自然に変化するという点です。スイング動作を変える必要はありません。
明日の練習で試すこと:9番アイアンで5球打ち、ボールが最初にどちらに飛び出しているかだけを観察してください。それがあなたの現在のフェース向きの傾向です。
2. グリップを高くするとドロー寄り、低くするとフェード寄りになる
アドレスでグリップエンドをいつもより少し高く持つと、スイングパスが自然にインサイドアウト方向に傾きます。逆に低くするとアウトサイドイン方向に変化します。TrackManのデータでは、グリップ高でパス5.6度インサイドアウト、グリップ低で約2度インサイドアウトという差が確認されています。
スイング感覚は変えなくていいです。「手元の高さ」という小さなセットアップの変化が、パス角度を数度動かします。その数度がドローとフェードの分かれ目です。
弾道測定器があればパス角度をリアルタイムで数値確認できます。なければ、スマホを後方に置いて撮影し、打球のスタート方向と最終到達点を目視で記録するだけでも傾向はつかめます。3万円台の弾道測定器は実用レベルかも確認してみてください。
グリップの高低の差をその場で数値確認したいなら、スイングパスとフェース向きを同時に記録できるポータブル弾道測定器が便利です。調整の根拠が数字で見えると、「グリップをどこまで動かせばいいか」の感覚が早くつかめます。
明日の練習で試すこと:ショートアイアン(9番かPW)でグリップ高・通常・低の3パターンを各3球ずつ打ち比べてください。スイングは変えず、構えだけを変えます。
3. グリップの前後(シャフトリーン量)も球筋に影響する
グリップの高低に加え、グリップエンドを前(ボール寄り)に向けるか後ろ(体寄り)に引くかでも球筋が変わります。前傾すると(いわゆるハンドファースト)シャフトが地面に対して傾き、パスがインサイドアウトに寄りやすくなります。逆に起こすとアウトサイドインパスになりやすいです。
ただし、グリップエンドを体側に引きすぎてシャフトが地面に対して垂直以上になると、ダフりが増えます。「左股関節前あたりをグリップエンドが指す」くらいを限界の目安にしてください。ザンダー・シャウフェレがレッスンで語っているように、シャフトリーンの「一定さ」がコンタクトの安定につながります。
明日の練習で試すこと:ハンドファースト(グリップエンドが左股関節前方向き)でドロー、グリップエンドをやや起こしてフェードを打つ感触を素振りで確認してから、各5球打ち比べてください。
グリップ位置とスイングパスの関係を理解する
なぜグリップの位置でスイングパスが変わるのか、もう少し掘り下げます。
グリップエンドを高く保つと、クラブが体の近くを通りやすくなります。その結果、ヘッドがインサイドから入るパスに自然と傾きます。低くするとクラブが体から離れやすくなり、アウトサイドから入りやすくなります。前後も同じ原理で、グリップが前傾すると体の回転と合わせてインサイドアウト軌道が出やすくなります。
スイングそのものは変わっていません。変わっているのはアドレスの「構え」だけです。この仕組みを理解しておくと、コース上で迷ったときに「スイングを直そう」ではなく「グリップ位置を変えよう」と発想が切り替わります。それが精神的な余裕にもつながります。
よくある失敗と修正の考え方
グリップ位置を変えるときに多い失敗は3パターンです。
手元だけを動かすつもりが、体まで動いてしまう。グリップを高くしようとして体が起き上がったり、低くしようとして前傾が崩れたりします。変えるのはグリップエンドの向きだけで、体の傾きはそのままにする意識が必要です。素振りで「体はそのまま、手元だけ」の感触を先に作ってから球を打つといいです。
フェースの向きも一緒に変わってしまう。グリップ位置を変えるときにグリップの形が崩れて、フェースが開いたり閉じたりするケースがあります。グリップを握り直さずに高さだけを変える練習をしてください。スマホの後方撮影でアドレスを確認するのが手軽で確実です。
効果が出ないからスイングを変えようとしてしまう。3球打って球筋が変わらないといって、スイングをいじり始めると逆効果です。最初はグリップ高・低の差を「かなり極端」にしてみてください。微妙な変化では体感しにくいので、大げさなくらいに試すことが最初のステップです。
初心者がまずやること
安定したコンタクト(ミート)ができていない段階では、このテクニックを取り入れるのは早いです。ミスショットの原因がスイング軌道や体の動きにある段階では、グリップ位置の調整は効果を発揮しにくいです。
それでも試してみる価値がある入口練習があります。
- ショートアイアン(9番かPW)でグリップ高・低の「2択」だけ使う
- 「ドローが欲しい → グリップ高」「フェードが欲しい → グリップ低」の思考に絞る
- スイングの感覚は変えない。変えるのは構えだけ
この2択がうまくいくようになったら、前後の調整を加えます。高低と前後を同時に変えようとすると混乱しやすいので、順番に習得するほうが遠回りに見えて速いです。
練習場でアライメントスティックをフットラインに置いておくと、グリップ位置を変えたときにアライメントがずれていないかその場で確認できます。数百円から手に入り、球筋の変化を確認するときの基準として重宝します。
中級者が伸ばすポイント
コースで球筋を戦略的に使いたい中級者には、2つのステップを追加します。
ダブルワミー設定を活用する。グリップ高だけではパス変化が足りないと感じるなら、「グリップ高+ハンドファースト」の組み合わせでドローを強調できます。フェードを確実に出したいなら「グリップ低+ハンドレイト(少しグリップエンドを起こす)」の組み合わせが有効です。特にフェードが苦手な人は、まずこの組み合わせで球筋が出ることを確認してから、片方ずつシングル設定に戻していくと習得が早くなります。
意思決定→セットアップの順番を習慣にする。「このホールは左バンカーを避けたいから右に打ち出してドロー」と戦略を決めてからセットアップに入る順番を徹底してください。構えながら何を打つか考えると、グリップ位置がどちらつかずになります。
例えば、左にOBがある場面なら:
- 右に打ち出してドロー引き戻しを選ぶ → グリップ高、体とフェースを目標の右に向けてアドレス
- 安全優先でほぼストレートを打つ → グリップニュートラル
どちらを選ぶかは状況次第ですが、選んでからセットアップする習慣が、コース上の成功率を上げます。なお、この動画ではアイアンショットを中心に解説されています。ドライバーやフェアウェイウッドへの適用については別途検証が必要です。
次にやること
練習の順番をまとめます。
- ショートアイアンでグリップ高・低を試し、球筋の変化を体感する(各10球)
- グリップの前後も加えて「高+前でドロー強調」「低+後でフェード強調」の組み合わせを試す
- 練習場でコースを想定し、「右に打ち出してドロー」「左に打ち出してフェード」を意思決定してから打つ習慣をつける
弾道測定器があれば各設定でのパス角度を記録して自分の基準値を作ると、コース上で迷ったときの判断軸になります。なければスマホ後方撮影で打球のスタート方向と落下点を記録するだけでも傾向は見えます。7番ウッドのダウンブローで芯ヒット率を上げるでも軌道制御の基礎を確認できます。
次のラウンドで「ここはグリップ高でドローを打ちたい場面だ」と判断して実行できたなら、それが上達の証拠です。意図的な球筋選択を1ラウンドに1回できると、コースの攻め方に選択肢が生まれます。
出典メモ: 本記事は Possibly The BEST Golf Tip I Have Ever Seen をもとに、初心者・中級者が行動に移しやすい形へ再構成しています。 チャンネル: Andrew Cullen PGA。細かい動きやニュアンスは元動画を確認してください。
参考動画・参考情報
- Possibly The BEST Golf Tip I Have Ever Seen — Andrew Cullen PGA
- スライスを止める「スイングパスとフェース向きの関係:Dプレーンの重要性」 — STEPBYSTEPゴルフスクール大阪