藤田寛之のパター選択眼 フェースアングルで3本を使い分ける理由

藤田寛之のパター遍歴をヤマハスタッフ時代から現在のスコッティキャメロン3本体制まで解説。フェースアングルを軸にした選択眼、タバタと共同開発した傾斜対応練習マットの特徴を含め、スコア90〜110の中高年ゴルファーが参考にできる具体的な判断基準をまとめた。

藤田寛之のパター選択眼 フェースアングルで3本を使い分ける理由

2026年5月時点でも国内男子ツアーの練習グリーンで話題になるのが、55歳の藤田寛之のパターセッティングだ。ヤマハのスタッフとして長くツアーを戦い、ヤマハ製パターとともに勝ち星を積み重ねた藤田が、なぜ今スコッティキャメロンの3本体制に行き着いたのか。その選択眼は、スコア90〜110帯の中高年ゴルファーにとって、パター選びの迷いを解く確かな参考になる。


「家から引っ張り出してきた」クラフツマンが語ること

フジサンケイクラシック2024年の事前練習グリーンで、藤田のバッグには見慣れない光景があった。エースの「ニューポート2 GSSプロトタイプ」を自宅に忘れてきたというアクシデントが重なり、サブのブレード型(ニューポート2)と、松山英樹がPGAツアーのプレーオフで優勝した直後に話題を呼んだ「クラフツマン」の2本だけが入っていた。

「松山の試合を見ていたら、アレ?このパター自分も持っているぞってなって」と語る藤田が、家のパターマットですぐさま転がし、その日のうちにフェース面のキャラクターを確認し終えた。この行動の速さに、彼のパター哲学の本質が凝縮されている。

迷う時間が短いのは、判断軸がすでに決まっているからだ。感覚に頼っているように見えて、実は「フェースのバイアス」という具体的な基準で道具を評価している。この視点を持つゴルファーと持たないゴルファーとでは、パター選びの精度が根本から違う。


ヤマハからスコッティへ、変わらなかった一点

藤田がヤマハのスタッフだった時代、彼はヤマハ製パターを使用し、1997年サントリーオープンで初優勝を遂げた。その後も年齢を重ねるごとに完成度を増し、2012年には史上最年長記録を更新しながら賞金王を獲得している(日本シリーズ3連覇を含む年間4勝)。道具は変わっても、一貫して求め続けてきたのは「アドレスでフェースがスクエアに見えること」という一点だ。

クラフツマンを初めて手にした時の記憶として藤田が語ったのは、「トウが反っているかなど、とにかくフェースが真っすぐ見えるのが欲しい時期でした」という言葉だった。ヤマハのパターに求めていたものも、スコッティに切り替えてから求めているものも、出発点はここにある。

ブランドを変えても哲学は変えない。これは道具選びの教訓として、アマチュアにも直接響く視点だ。「ヤマハを使っていた藤田プロのパターが知りたい」という動機でリサーチする人は多いが、本当に参考にすべきは銘柄ではなく、その選択基準の方である。


3本のパターが教えるフェースアングルの読み方

藤田が3本に付けたラベルは明快だ。

  • サブパター(ニューポート2):フェースがやや「かぶっている」=つかまる方向
  • クラフツマン:フェースがやや「逃げ顔」=開く方向
  • エース(GSSプロトタイプ):スクエアからやや「つかまる側」の中間

「インパクトでスクエアに戻った時に、そこにしっかり出球が出るかどうかで選ぶ」という基準は、感覚論ではない。自分のストローク軌道がその日どちらに傾いているかを把握したうえで、パターのフェースバイアスで補正する。プロアマ戦でサブパターを使って「つかまってしょうがない」と判断すれば、翌日クラフツマンに切り替える。これだけ論理的な選択をしている。

クラフツマンのソールには「バレット(弾丸)」と呼ばれる穴が開いており、藤田は「インパクトで反響するような雰囲気はある。打感はモチっとしている」と語った。金属素材に空洞を設けることで音が篭り、柔らかい打感が生まれる。ヘッドの仕上げは「クロマティックブロンズ」で、松山のモデルとも色味が異なる特注品だ。

フェースアングル選びを整理すると3段階になる。

  1. 自分のストロークが「アーク型(フェース開閉あり)」か「ストレート型」かを把握する
  2. 構えた時にフェースがスクエアに見えるか、かぶるか、逃げるかを確認する
  3. ストロークのクセと、ヘッドのバイアスが補正方向に働くかを判断する

形状(ブレードかマレットか)の選択はこの後だ。先にフェースアングルの見え方を決める基準を持っていないと、何を使っても「なんとなく合わない」で終わる。

パッティング練習器具で迷ったら比較すべき3つのポイントでも指摘しているが、フェースアングルの確認は実際に構えて転がしてみる以外に方法がない。中古市場ではスコッティキャメロンのニューポート2系が3〜6万円台で流通している。「構えた時のフェースの見え方」を1つ目の比較軸として店頭で試してほしい。

自宅でパッティングを磨く専門ブランド。距離感が確実に変わる

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自宅で再現する藤田式パッティング練習

藤田が株式会社タバタと共同開発した「Fujita マット U-2.3」(税込9,900円)は、彼のパッティング哲学を自宅練習に落とし込むために設計されたマットである。

最大の特徴は5種類の傾斜設定。「スペーサー」のワンタッチ操作で以下を切り替えられる。

  • ストレート
  • フック1.5度 / フック3.0度
  • スライス1.5度 / スライス3.0度

傾斜角度は藤田本人が繰り返し監修して決定したもの。一般的なパターマットにある人工芝ではなく、特殊フォーミング素材を採用しているため、芝目の影響を受けずボールが自然な軌道で転がる。折れ癖や芝糸の抜けといった人工芝の弱点もない。実際に打ってみると、転がり出しの安定感がコースのグリーンに近く、打感確認の目安として使いやすい。

サイズは2,300mm×300mm、重量は約2.3kg。パッケージサイズが628×420×135mmとコンパクトで収納・移動しやすい。カップは360度回転可能で、任意の向きに設定できる。5種類のラインを使って「どのラインが一番イメージしやすいか」を毎日確かめる習慣が、出球の確認精度を上げる。

アライメント矯正で3パットを減らす。自宅で始めるパッティング改善

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アーク型かストレート型か、50代が先に決めるべき一問

パターを増やす前に答えが必要な問いがある。「自分のストロークはフェースを開閉しているか、していないか」だ。

自分のストロークに認識がある人にとって、藤田の3本体制は非常に参考になる。アーク型ならフック傾向に補正するパター(かぶり顔)、ストレート型なら逃げ顔か真っすぐ顔の選択肢が絞り込まれる。複数を手元に置いて「その日の出球傾向で使い分ける」という発想も、自分のストロークへの理解があってはじめて機能する。

一方、スコア110以上で「まずパットを安定させたい」段階では、複数のパターを使い分けようとすると混乱を招くだけだ。フェースアングルのバイアスで補正する考え方は、ストロークが70〜80%固まってからの話である。「藤田プロのブランドだから」という理由でタバタのパターマットや特定のパターを選ぶのも目的がズレる。道具は哲学に従うものであり、ブランドで選ぶものではない。

シニアゴルファーへのポイントを一つ挙げるなら、「軸は1本に絞り、それを基準に比較する」ことだ。エースとサブで何が違うかを言語化できていない段階では、道具を増やしても判断軸が増えるだけでパフォーマンスに繋がらない。


次のラウンド前日に試す一つのこと

難しいことは何もしなくていい。

今使っているパターを構えて「フェースがどう見えるか」を3択で確認する。スクエアに見えるか、かぶっているか、逃げているか。自分の言葉で答えるだけでいい。

パターは会話だ。フェースが何を言っているか、構えた瞬間に聞く習慣を作る。藤田が3本をフェースアングルで分類しているのは、まずこの「見え方の確認」があるからだ。選択の基準を持つことと、なんとなく合わないと感じることの間には、1ラウンドで2〜3打の差が出る。

自宅練習の環境を整えるなら、傾斜設定が複数ある練習マットで5種類のラインを打ち分ける習慣から始めることを推奨する。ストレートとスライス・フックの出球の違いを体感することが、自分のストロークの傾向把握に直結する。PuttOUTは向いている人がはっきり分かれる パッティング練習の選び方も読んで、どのタイプの練習器具が今の課題に合うかを整理してほしい。


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