スライスはグリップの握り順で直る
「スライスが慢性化しているアマチュアに効く グリップへの意識改革の整え方」をテーマに、初心者・中級者向けに要点と練習の始め方を整理したレッスン記事。スライスが慢性化しているアマチュアに向けて、失敗しやすい点や見直し方もまとめて読める。まずは自分の現在のグリップを鏡の前で確認し、指摘される前に客観視す...から始めるのが
「練習場でいくら振ってもスライスが止まらない」「雑誌のスイング理論を試しても球筋が変わらない」。そんな経験はありませんか? スイングを疑う前に、まず手元を見直してほしいのです。グリップは唯一クラブと体をつなぐ接点であり、ここがズレていれば、どんなスイング改造も効果が出ません。片山晋呉プロは高校時代、ナショナルチーム合宿でコーチから「グリップが汚い」と一刀両断された経験を持っています。ツアー通算31勝のプロですら、グリップの見直しがキャリアの起点になりました。この記事では、骨格に沿ったグリップの作り方を、練習場でそのまま再現できる手順に落とし込んで解説します。
この記事でわかること
- 骨格のニュートラルポジションからグリップを組み立てる方法
- スライスを生む「正面握り」の原因と、プロが実践する握り順
- ナックル数・ショートサムなど、自分でチェックできる客観基準
この記事で学ぶ3つのポイント
1. 「気を付け」の手の甲が、グリップの出発点になる
グリップの正解は、理論書の写真ではなく自分の骨格が教えてくれます。両腕を下ろして「気を付け」をすると、手の甲は正面ではなくやや外側(前方)を向く。これが肩・腕・手首に無理のかからないニュートラルな状態です。車のハンドルを10時10分の位置で持つイメージに近いと言えばわかりやすいでしょう。
この向きを無視して手のひらをクラブに正対させると、肩が開き、フェースも開く。スライスの種はアドレスの前に蒔かれているわけです。
明日の練習で試すこと。打席に入る前に「気を付け」をして、手の甲がどこを向いているか確認してみてください。その手の向きのまま左手でクラブを持ち上げる。これだけで握りの感覚が変わるはずです。
2. プロはクラブを「横で握ってから正面に持ってくる」
アマチュアに多いのが、クラブを体の正面に置き、そこへ手をまっすぐ合わせる握り方です。この手順だと手のひらが開いた状態でグリップが完成するため、フェースが開きやすくなります。
PGAツアーの選手のほとんどは逆の手順を踏んでいます。肩がニュートラルな位置、つまり体の横でグリップを完成させてから、クラブをアドレス位置に持ってくる。握る場所ではなく、握る順番がフェースの向きを決めているのです。
明日の練習で試すこと。素振りの前に、体の横でグリップを作り、そのままアドレスに入る動作を20回繰り返してみてください。3回目あたりから手の収まりが変わってくるのを感じられます。
グリップの向きとフェース面の関係をその場で確認するには、スマホで後方から撮影するのが手軽です。撮影用の三脚があると毎回安定した角度で撮れるので、変化の比較がしやすくなります。
3. 左手の指は「小指の第3関節から人差し指の第2関節」を通す
グリップを手のひらで包む(パームグリップ)と、手首の動きが制限されてヘッドが走りません。正しくは、手の甲を斜め45度ほど右に向けた状態で、小指の第3関節から人差し指の第2関節に向かう斜めのラインにシャフトを乗せる「フィンガーグリップ」です。
ここが決まると、手首のコックが自然に使え、クラブの重さをヘッドに伝えやすくなります。2026年4月現在の主流である軽量・後重心設計のアイアンは、フィンガーグリップと相性がよく、クラブの性能を引き出しやすい。パームで握ったまま最新クラブに替えても、飛距離も方向性も期待値どおりに出ないことが多いです。
明日の練習で試すこと。クラブを持たずに、左手の小指第3関節〜人差し指第2関節のラインを反対の手でなぞって位置を確認してからグリップしてみてください。指のどこにシャフトが乗っているか、意識するだけで握りの深さが変わります。
よくある失敗と修正の考え方
スライスが慢性化しているアマチュアの大半は、グリップではなくスイング軌道を疑います。しかし片山プロの指摘は明確で、正面でまっすぐ握る癖がフェースを開かせ、それがスライスの根本原因になっているケースが非常に多い、というものです。
もうひとつ多い失敗が、親指の位置です。左手の親指をシャフトに沿って長く伸ばす「ロングサム」は、トップでクラブがぐらつきやすく、方向が安定しません。片山プロは親指と人差し指の間にティーが挟まらないほど隙間を詰めた「ショートサム」を勧めています。
補足すると、ストロンググリップ(正面から左手の甲が多く見える状態)とウィークグリップ(左手の甲がほぼ見えない状態)という分類があり、この動画で教えている握りはストロンググリップ寄りです。動画中にこの用語は出てきませんが、アドレス正面からナックルが2〜3個見える状態がその目安になります。非力なゴルファーや女性は3〜4個見えるくらいでも構いません。
ナックルが1個以下しか見えないなら、フェースが開きやすいウィークグリップになっている可能性が高いです。スマホで正面から撮影して確認する習慣をつけると、感覚だけに頼らずに済みます。
初心者がまずやること
いきなり全部を変えようとしない。まずは左手のグリップだけ整えるところから始めてください。
- 「気を付け」で手の甲の向きを確認する
- その向きのまま体の横でクラブを握る
- 小指第3関節〜人差し指第2関節のラインにシャフトを乗せる
- アドレス正面からナックルが2〜3個見えるか確認する
この4ステップを練習前のルーティンにするだけで、5球も打てば打ち出し方向の変化を実感できるはずです。
グリップ改造の初期は、指の位置がわからなくなりやすい。グリップトレーナー(正しい指の位置にガイドが付いた練習器具)を使うと、反復の精度が上がります。1,500〜3,000円程度で手に入るので、自宅での素振りにも使えて効率がいいです。
ゴルフを始めたばかりで足回りの装備もまだ揃えていない方は、シューズ選びの基本をまとめたこちらの記事も参考にしてみてください。
中級者が伸ばすポイント
スライスが出ないラウンドもあるのに安定しない。そんな中級者は、グリップの「握り順」を疑ってみてください。調子がいい日はたまたまニュートラルに近い位置で握れていて、悪い日は正面握りに戻っている可能性があります。
チェック方法はシンプルです。毎ショット前に「体の横で握り、正面に持ってくる」手順を意識的に踏む。これをルーティン化するだけで、ラウンド中のばらつきが減ります。
右手のグリップも左手と同じく第3関節〜人差し指第2関節のフィンガーグリップで添えるのが基本です。左手が正しく握れていれば、右手は自然と収まりやすくなるので、まず左手の精度を上げることが近道です。左手→右手の順に完成させ、最後に両手の一体感を確認する「2ステップ確認法」を全ショットで実施してみてください。
次にやること
グリップの理屈を理解した「次の一歩」は、変化を数字で記録することです。練習場で10球打ち、スライス量(右への曲がり幅)をメモする。グリップを修正した後にもう10球打ち、曲がり幅を比べる。感覚ではなくデータで確認すると、元の握りに戻りたくなる誘惑に負けにくくなります。
ラウンドで活かせるかどうかの判断基準はひとつ。練習場で意識しなくても新しい握りになっている状態が3回続いたら、コースに持ち出していい段階です。それまでは練習場で反復してください。
Q: ストロンググリップにするとフックが出ませんか?
ナックル2〜3個の範囲であれば、極端なフックにはなりにくいです。4個以上見えるようなら強すぎるので、1個減らして様子を見てください。スイング軌道との兼ね合いもあるので、5球打って全部左に出るなら少し戻す、という微調整で十分です。
出典メモ: 本記事は 【レッスン】骨格にあわせた正しいグリップの握り方 をもとに、初心者・中級者が行動に移しやすい形へ再構成しています。 チャンネル: 45 GOLF - 片山晋呉チャンネル。細かい動きやニュアンスは元動画を確認してください。
参考動画・参考情報
- 【レッスン】骨格にあわせた正しいグリップの握り方 — 45 GOLF - 片山晋呉チャンネル
- ストロンググリップ・ウィークグリップについて — じゃらんゴルフ
- ロングサムとショートサムについて解説 — GOLFZON