グリーンのスパイク跡修復 2019年改正で変わったルールと判断基準
2019年のゴルフルール改正(規則13.1c)により、グリーン上のスパイク跡は罰なしで修復が許可された。直せる損傷と直せない損傷の違い、ボールがグリーン外でも修復できるか、使える道具の種類をQ&A形式でまとめる。旧ルールを覚えているゴルファーが誤解しやすいポイントも整理した。
パッティングラインのスパイク跡、触れるか触れないか
パッティングライン上にくっきり刻まれたスパイク跡。「これ、直していいんだっけ?」と手が止まった経験が一度はあるはずだ。
2019年1月1日施行の改正規則13.1cにより、グリーン上のスパイク跡を含む人為的損傷は罰なしに修復できるようになった。改正前はボールマーク(ピッチマーク)だけが修復対象で、スパイク跡がどれほど邪魔でも「あるがままにプレーする」原則が優先された。触れれば1打罰。知らずにペナルティを取られたゴルファーは少なくなかった。
7年経った今も「スパイク跡は触ったらダメ」と信じているゴルファーに、コース上で出会う。コース歴の長いベテランほど旧ルールが体に染み付いていて、同伴者の修復を「ルール違反だ」と指摘してしまうケースがある。指摘した側に悪意はない。ただ知識が更新されていないだけだ。
この記事では、現行ルールで「直せるもの」「直せないもの」の線引きと、正しい修復方法をQ&A形式で整理する。ラウンド中に判断が止まらないよう、具体的な基準を示す。
グリーンフォークを常に1本バッグに入れておくと、いざという場面でスムーズに対応できる。修復の意思があっても道具がなければ始まらない。
「直したらダメ」は2019年以前のルールだ
旧ルール記憶が根強く残っている理由は一つ。2019年以前にゴルフを覚えた人ほど、修復禁止の場面で失敗した経験が刷り込まれているからだ。
ゴルフダイジェストの記事でも、スパイク跡を修復した同伴者に「それはダメ」と注意する場面が紹介されていた。注意した側はルールを「知っている人」だった。それでも間違える。だから厄介だ。
もう一つの誤解が「ボールがグリーン上にある時だけ修復できる」という思い込みである。現行ルールではボールの位置に関係なく修復可能。自分のボールがラフやフェアウェイにある状態でも、グリーン上のスパイク跡に手を触れてよい。前の組がつけた跡でも、同伴者がつけた跡でも関係ない。
逆方向の誤解もある。「何でも直していい」と解釈して、修復が認められていない損傷に手を加えると規則8.1aの違反で1打罰になる。ゴルフの救済処置で線引きが難しい"合理・不合理"の判断でも触れているように、ゴルフのルールは「合理的か否か」の判断が難しい場面が多い。「直せるものと直せないもの」の区別を正確に把握しておくことが前提だ。
エアレーションの穴と古いホールの埋め跡は見た目が似ているが扱いがまるで違う。「触らないほうが安全」と考えて放置する人が増えれば、グリーンのコンディションは悪化する一方。正しく知ることが、自分のスコアにもコースの保全にも直結する。
スパイク跡修復で迷う場面への具体的な回答
Q: スパイク跡は2026年現在、修復してよいのか?
A: 許可されている。規則13.1c(2019年改正)により、グリーン上のスパイク跡(靴で引きずった傷を含む)は罰なしに修復できる。使用できる道具は手・グリーンフォーク・クラブの3種類。修復行為でプレーを不当に遅延させた場合は規則8.1aの違反として別途ペナルティの対象になる。修復に使う時間の実質的な目安は「同伴者を待たせない範囲」だ。
グリーンフォークはボールマークもスパイク跡も両方に対応できる。修復のスピードは道具の形状で変わる。1本だけ選ぶなら、ヘッドが細く芝に刺しやすいタイプが現場では使いやすい。
Q: 修復できる損傷とできない損傷の違いは何か?
A: 「人が与えた損傷」は修復できる。「コース管理の一環として意図的に行われたもの」は修復できない。これが原則だ。
| 修復できる損傷 | 修復できない損傷 |
|---|---|
| スパイク跡(靴による傷) | エアレーションの穴 |
| ボールマーク(ピッチマーク) | 古いホールの埋め跡 |
| クラブを落とした凹み | コースの自然な凹凸 |
| 動物の足跡・蹄の跡 | 摩耗によるすり切れ |
| バッグを置いた跡 | 排水のための溝 |
判断に迷ったら「コーススタッフが意図的に作ったものか否か」を基準にする。エアレーションは芝管理のために穿つもので修復不可。確信が持てない損傷は触れないのが賢明だ。
なお、ボールマークの一部がグリーン上でグリーン外にもまたがる場合、そのボールマーク全体(グリーン内外の両方)を修復できる。一続きの損傷と確認できる範囲なら、グリーン外に少し延びていても修復してよいと規則は定めている。
Q: ボールがグリーン外にある状態でもグリーン上のスパイク跡を直せるか?
A: 直せる。自分のボールがラフやフェアウェイにあっても、グリーン面のスパイク跡に手を触れてよい。2019年改正の重要なポイントの一つがこれだ。
ただし一点だけ注意がある。「修復することでストロークに影響を及ぼす状態が改善される場合」に限り、グリーン外に損傷が延びている部分は修復不可となる。グリーン上の損傷が一続きの傷の一部として確認できる範囲なら問題ないが、そうでない部分をグリーン外でいじると規則8.1aの違反になる。
Q: 修復に使える道具と正しい手順は?
A: 規則が認めているのは「手・グリーンフォーク・クラブ」の3つ。正しい修復手順はボールマークと同じ考え方でよい。損傷の外側から中心に向けて芝を押し込み、最後に軽く押さえて平らにする。引っ張り上げると芝の根が切れて回復が遅くなる。押し込む。これだけ覚えれば十分だ。
靴がグリーン面に与えるダメージは、スパイクの形状と素材で変わる。ソフトスパイクやスパイクレスタイプに替えるだけで、後続組が受ける損傷は減る。コースマナーとスコアメイクは表裏一体である。
ソフトスパイクシューズへの切り替えは、グリーンを傷つけにくいだけでなく歩行の安定にも寄与する。ハードなスパイクにこだわり続ける理由がなければ、次回の買い替えタイミングで検討する価値がある。
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次のラウンドで即実行できる3つのこと
Q&Aを読んだあと、次のラウンドで実行できることは3つある。
- グリーンフォークを必ず1本バッグに入れる。修復の意思があっても道具がなければ何もできない
- スパイク跡を見たら、直せるかどうかを瞬時に判断する。「人の行為による損傷か、コース管理によるものか」が唯一の基準
- ボールがグリーン外でも、グリーン上にいるタイミングで跡を直す。前の組の跡でも関係ない。次の組のためにもなる
グリーンへのアプローチは「自分が打つ直前だけ気にする場所」ではない。パッティングは会話のようなもので、自分が整えた面が後続の球を助けることもある。グリーン面を丁寧に扱う習慣は、結果的に自分のパットにも返ってくる。
修復のスピードも経験で上がる。最初は1箇所30秒かかっても、慣れれば10秒以内に収まる。プレーを遅延させない範囲で行うという条件を、十分に満たせるようになる。
競技出場者とゴルフ歴1年未満は優先順位が変わる
スパイク跡の修復ルールを覚えることより先に確認すべき状況がある。
ゴルフを始めて1年未満の場合、ルールの細部よりコースマナーの基本(前の組を待たせない・バンカーをならす・ディボット跡を埋める)を先に身につけた方がいい。ルールの知識は必要だが、スムーズなプレー進行の方が同伴者への影響が大きい。優先順位はそちらだ。
競技ゴルフ(アマチュア公式競技)に出場する場合は、ローカルルールの確認も必須である。コースによってはグリーンの修復に関する特別なローカルルールが設けられているケースがある。競技前に必ず確認する。
グリーンフォークを持っていない場合は、クラブを使った修復でも問題ない。ただし芝を引き抜いてしまう引き上げ動作は逆効果になる。押し込む方向を守れれば代用は十分できる。
グリーン周りの備品一式をまとめて揃えておくと、次のラウンドからすぐに使えて準備の手間が減る。
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覚えるのは原則一つ、それだけで判断は迷わない
「スパイク跡は触れない」は旧ルールだ。2026年5月時点で、現行の規則13.1cは明確に修復を許可している。同伴者が修復しているのを見て「それはダメ」と言いたくなったら、ルールが2019年に変わったことを思い出してほしい。
覚えることは一つで十分だ。「人の行為による損傷はグリーン上なら罰なしに修復できる」。この原則だけ頭に入れておけば、ほとんどの場面で正しく判断できる。
残る不安があるとすれば「修復できない損傷に触れてしまうかもしれない」という点だ。迷ったら触らない。それがリスクを最小化する判断である。確信が持てる損傷だけを直す。実用的な結論はそこに尽きる。
旧ルールを覚えているベテランゴルファーから注意を受けても、慌てる必要はない。規則13.1cを根拠に、落ち着いて「2019年の改正でスパイク跡も修復できるようになりました」と伝えればよい。ゴルフの救済処置で線引きが難しい"合理・不合理"の判断を読んでおくと、境界線の判断に迷う場面でも根拠を持って対処できる。知識の更新は、同伴者へのマナーにもなる。